さて、次は美食の街へ

サン・セバスティアン

バルセロナの次にご紹介するとしたら、ガウディがこんなに注目される前はスペイン観光と言えばココというくらい定番の『アルハンブラ宮殿』。または首都マドリードからすぐお隣、一日だけスペインに行くならここに行けと言われる古都『トレド』。はたまたローマの水道橋と白雪姫のお城のモデルになったお城がある『セゴビア』。

と、まあ候補はいろいろありますが、私共は一応スペイン料理屋なので、まずは【食】から行ってみたいと思います。

近年、美食の街として名を馳せているスペイン北部バスク地方の『サン・セバスティアン』

星付きレストランがたくさんあるとか、200軒とも400軒とも(幅がありすぎ!)言われるバル街があるとか、とにかく「食いしん坊・飲みしん坊」にはパラダイス!!

残念ながら星付きのレストランには行ったことがなく(正確には行ける予算があったことがなく…)、透明なくるくるマカロニの中に色とりどりのソースが入っているとか、テーブルにタブレットが埋め込んであって魚料理の時はお皿の下に海の中の映像が流れるとか、ピクニックがコンセプトで前菜はバスケットに入っていて野外で食べるとか・・・お店ごとに嗜好の限りを尽くし、もはやレストランというよりアミューズメントパーク…らしい。もちろん、奇をてらってるばかりではなく、バスク伝統に根付いた味も本物に違いありません。

「美味しくて楽しめるなら、金に糸目は付けぬ」という(羨ましい)方、ぜひぜひ廻ってみてください。

大変お待たせいたしました。それではさっそく美食の街『サン・セバスティアン』庶民編、ご覧いただきましょう。

東西400m南北300mくらいのエリアに、バルがひしめき合っています。

注文の仕方は簡単♪ カウンターに並んだピンチョスを指差して取ってもらう。お会計は、ほぼ自己申告の後払い。

ピンチョスを2,3個つまんで一杯飲んだら次の店へ。一か所に長居は粋じゃありません。二軒三軒とはしごを楽しむのがのがスペイン流。お店ごとに特徴があるので、一軒だけじゃもったいない!

多くのお店が、入り口近くは立ち飲み、奥または地下または2階がテーブル席。立ち飲みの人が多く、店内に入りきれずに外での飲み食いも当たり前。

多分、日本で一番紹介されているバル「ガンバラ」。晩秋だったので空いてたけど、オンシーズンだと控えめにしてたら一生食べられないかもってくらい。ここのおすすめは、「蟹のタルト」と「きのこの盛り合わせ」(ちょっと高めだけど…)

ちょっと奥まったところにある「クッチャーラ」。ここのおすすめは、なんといっても「フォアグラのソテー」。ここばかりは季節を問わず混んでます。11月でもこの大盛況ぶり。つまりは、超おすすめ!ということです。

但し、この店はカウンターにピンチョスが並んでいるスタイルではないので、このごった返しの中で注文するのは気合いが必要です。とりあえず「フォエ、フォエ(フォアグラのこと)」と叫んで、あとは他の人の注文した料理がガンガン出てくるので、気になったものがあったら「エスト、ポルファボール(これ、ください)」

ほとんどの人がタコのグリルかリゾットを頼んでいるので、まず大きくはずれることはないからご安心を。気おくれすることなく、がんばれ~!

お酒は微発泡の白ワイン「チャコリ」で。香りをたたせるように高いところから注いでくれます。妙技のようで実はどこのお店の人もけっこう床にこぼしてた。神経質な方にはできない注ぎ技(笑)

ちなみに、昨年日本のコンビニスイーツ界を席巻した「バスクチーズケーキ」通称「バスチー」。そうここ、バスク地方のものです。でも、日本ではバスク地方の名物スイーツのように売り出されてますが、実際現地で見かけることはほとんどなく、『ヴィーニャ』というバルでだけ。逆に『ヴィーニャ』では「バスチー」しかないくらいの大人気定番商品。バルなのに!というわけで、サン・セバスティアンに行ったら、どこでも食べられるってことではないので、お気をつけて。

余談ですが、スペインでいつもちょっぴり驚かされる、というか感心させられるというか…

スリ・置き引きは犯罪のうちに入らない⁉取られる方が悪いくらいのお国柄。(私も滞在中たいてい一度はカバンの口を開けられます。)勝手に外に持ち出して食べるようなこのシステム、これじゃ食い逃げし放題!と思いきや、今まで食い逃げを見たことがない!!まあ確かに北部は南のアンダルシアに比べれば治安も悪くないし、バスクの人は真面目な感じですが、南部でも見たことがない。気がつかなかっただけ?とも思えない。治安の良さを世界に誇る我が日本、浦和駅前の来来軒ですら食い逃げ3回目撃してるのに。

【食】対する強烈なプライドか!?謎です。

そういうわけですので、混んでるとちっともお会計してくれなかったりもするけれど、ゆめゆめ払わずに帰っちゃおうなどという気は起こさぬよう。